自然の力で、健康な豚を

(写真左)木炭からつくられる飼料「ネッカリッチ」 / (写真右)成長ステージに応じて最適な飼料を与える

食べ物をつくることは、生命をつくること。

毎日口にする食べ物であるから、おいしさはもちろんのこと、原料となるエサ(飼料)には安全で安心できるものを使いたい。
私たち生産者が長年の研究を経て出会ったのが、自然由来の炭素飼料「ネッカリッチ」でした。ネッカリッチは、シイやカシなど常緑広葉樹の樹皮を低温で蒸し焼きしてできた木炭の微粉末に、木酢液を配合した飼料。
畜産の分野では病気・ストレスへの抵抗力が高まり、肉質が改善されるなど好影響があることが証明されています。

豚肉特有の臭みがなく、キメ・シマリのある観音池ポークの肉質には、ネッカリッチの持つ抗菌性、ミネラル成分などが関係しています。

衛生的な環境で育てる

(写真左)母乳を飲み、すくすくと育つ仔豚 / (写真右)温度や湿度を適正に管理し、豚の健康を維持

観音池ポークの農場の一つである農事組合法人萩原養豚生産組合(都城市高城町石山)では2017年に規模拡大を行い、農場を新設。繁殖部門と肥育部門を別々に設ける「2サイト」方式を導入しました。

2サイト方式とは、成長段階によって子豚繁殖と肉豚肥育を物理的に遮断して行う方式です。2サイト方式を採用することによって、病気の感染リスクを最小限に防ぐとともに、日齢に合った環境と育てることが可能です。
感染リスクを防ぐため、原則として従業員以外の人間は農場内に入ることはできません。
従業員以外の人間が豚舎に入る場合は、シャワーを浴びて指定の作業着を着用し、持ち込む物はすべて殺菌消毒してから入場します(シャワーイン)。
従業員も必ずシャワーを浴びて、指定の作業着に着替えてから入ります。
また、外部から病原菌を入れないために、農場敷地内に入る場合は必ず洗浄消毒を行います。食品(豚肉)をつくる農場であることを認識し、食品工場と同様に、衛生的な従業員が豚の世話をして、病気を防いでいます。 

豚は大変デリケートな生き物です。
病気と同様に、外的なストレスも発育に大きなマイナスとなります。農場では温度や湿度、空気、餌を豚の大きさに合わせてきめ細かく管理し、できるだけストレスを与えないように、快適な環境を整えています。また水においても、霧島山系から豊富に湧き出る地下水を使い、豚の健康維持に役立てています。

地域に愛され、永続できる農業を

(写真左)観音池ポークの若き生産者たち / (写真右)笹サイレージ。竹笹を粉砕、発酵させて作る

私たちが銘柄豚づくりに取り組み始めた昭和60年代当初、豚肉はすでに輸入自由化され、養豚農家は先行きが不透明な状況でした。また、輸入豚肉から抗生物質などの残留がマスコミに取り上げられ、消費者から食に対する不安が上がっていました。

こうした状況から消費者の方に本当に喜んで安心して食べてもらえる豚肉を生産することが、私たちの進むべき道との考えで「観音池ポーク」銘柄の造成に着手、現在に至っています。 食べ物と産地は密接な関係があります。地域に根を下ろし、地域の人に愛されるものづくりこそが、信頼されるブランドを確立するうえで不可欠と考えています。

「観音池」という地元の名所をブランド名にしたのも、地域密着型の農業を実践したいとの思いからです。直売所の開設や地元小学校での食育推進事業、また2005年から取り組み始めた「エコフィード」(リサイクル飼料)、さらに近年より着手した「笹サイレージ」などでそれらをカタチにしていきます。

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